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溶接条件:溶接方法、溶接順序、パス数、入熱
外力条件:膜応力、曲げ応力、平均応力、応力範囲
初期き裂寸法:き裂長さ、き裂深さ

 

(2)計算の手順
?残留応力の推定
溶接継手の疲労き裂進展寿命を評価する場合に、残留応力の影響を無視することは出来ない。残留応力の影響は、平均応力の影響と等価と考えて良いが、応力そのものではなく、き裂の進展に伴って残留応力が解放されることにより、き裂の先端に生じるK値を外力により発生するK値に加えて評価することが必要となる。そのためには、残留応力の分布を推定しなければならない。
ここでは、継手形状および溶接条件に基づき、固有応力法 3)により、残留応力分布を算出する方法を採用した。
残留応力分布の推定が困難な場合には、き裂の進展速度に残留応力の影響を最大限見込むことにより(詳細は後述する)安全側の評価(寿命を短かめに推定する)をする事が出来る。その場合に、継手の種類により、応力比(=最小応力/最大応力)Rが以下に示す条件の下で、残留応力を勘案して計算した結果とほぼ同等の寿命を推定することが出来る。
隅肉溶接継手:R≧0
角回し継手:R≧−1

 

?止端部表面き裂のK値計算
溶接継手の疲労き裂伝播寿命を計算するためには、溶接の止端部から発生した表面き裂のK値を求めることが必要である。溶接止端部に発生したき裂のK値は、継手の主板、副板の板厚、溶接脚長、構造的な応力集中等の影響を受けるため、これらを考慮しなければならない。
本研究では、(構造的な応力集中がない場合に)溶接止端部に存在する表面き裂の、外力によるK値は、Pang 4)およびMaddox 5)によるK値補正式を用いて計算した。
また、残留応力の解放により生じるK値(Kres)は、白鳥らによる影響関数法 6)を用いて計算した。

 

?構造的応力集中率KSの計算
構造的応力集中率KSは、ホットスポット応力と公称応力の比率であり、式(6.4)で定義される。

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ホットスポット応力の算出法として、SR202−B法 7)、0.0t法 8)などがある。

 

?KSによるK値補正係数の計算
次に、KSがK値に与える影響を補正する係数を算出する。本研究では、中央に集中荷重を受ける中央貫通き裂のK値の計算式 9)をべースに、簡易的な補正係数を提案した。

 

?応力比Rとき裂開口比Uの関係
ΔKeffと△Kの間には、き裂開口比Uを用いて、△Keff=UΔKの関係がある。Uは応力比Rの関

 

 

 

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